日本整形外科学会誌第58巻5号:497〜508,1984.
要旨:人工血液(Fluorocarbon:以下FCと略す)による切断肢の灌流保存が再接着術後に発生するreplantation toxemiaや、阻血による筋組織傷害の予防に有効か否かを検討した。
 雑種成犬の後肢を大腿中央部で完全切断し、室温および氷水冷却の条件のもとにFCで灌流し、6時間後に血行を再開した。切断肢を冷却保存し、さらにFCの灌流を加えることにより、切断肢内の嫌気性代謝は著明に抑制され、再接着後のreplantation toxemia の発生は減少した。また、筋組織傷害についても、再接着肢筋組織からのcreatinine phosphokinase(CPK)の流出は抑制され、組織学的にもその障害の程度が明らかに軽減していた。さらに、血行再開直後に見られる再接着肢のreactive hyperemiaの程度は軽度で、速やかに正常の循環動態に回復した。以上の結果は、切断肢の冷却保存にFCの灌流を加えることが、再接着術の全身に与える影響を少なくし、かつ再接着肢の機能温存にも有効であることを示唆していた。
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