地域と住民第16号:160〜163,1998.
「北の天文字焼き」のはじまり
 今年、北の天文字焼きは第10回目を迎え、名実ともに厳冬の火祭りに成長してきました。この北の天文字焼きは平成元年、まちおこし集団「助っ人」が北の遊星人の提唱する「北の星座共和国」の基本構想である、名寄市を中心とする北・北海道の14の市町村を線で結ぶと「天」という文字が出来上がることをもとにはじめた火文字焼きです。
第9回写真コンテスト最優秀作品
「花火と北の天文字」(高橋新一さん)
北の星座共和国の構想の「天」の
文字を構成する14の市町村
火文字焼き
 京都の大文字焼きは江戸時代の初期から行われている五山送り火の一つで、8月16日に東山の如意ケ岳で点火されます。近年、まちおこしの一貫としてこのような火文字を燃やす火祭りが全国各地で行われるようになりました。道内では上ノ国町で天文字焼きが8月のお盆に、上富良野町では大文字焼きが除夜の鐘がなるとともに灯されます。それぞれが私たちの北の天文字焼きと同じように10回くらいを数えます。また、この火文字を通して道外の二つの町から視察を受け、これから交流をはじめようとしている町があります。一つは岡山県和気町で、8月16日午後8時に観音山で縦65m、横75mの「和」という火文字が点火されます。京都の大文字焼きと同日同時刻に開始され、京都の「大」と和気の「和」で大和という意味も込められています。今年は第12回目になります。もう一つは広島県安芸津町で、万葉集の和歌の中に、新羅国に派遣される使節団の一人が安芸津を訪れた際に詠んだ歌が含まれているところから、「万葉火」という火祭りが行われるようになりました。毎年10月の最終土曜日の午後6時に保野山で縦108m、横58mの「万」という火文字が点火されます。今年は第9回目を迎えます。これらの火文字を縁に町や人同士のつきあいが模索されます。

「天文字焼き」の変遷
 平成元年、まちおこし集団「助っ人」が市民に呼びかけて実行委員会(渡辺正尚実行委員長)をつくり、「天」という火文字を夜空に燃やすことが出来ました。写真コンテストには多くの秀作が応募され、第1回以降毎年の優秀作品をテレフォンカードとして現在まで継続して作製してきました。これは、名寄市北国博物館で見ることができます。この年以降、平成の年号とともに同じ回の天文字焼きを実施しています。
 平成2年、季節はずれの雨の中で実施しました。
 平成3年、名寄の雪祭りが樹氷祭りとJCのミニ雪像と北の天文字焼きを併せて雪質日本一フェスティバルと名称を変えました。この年、名寄駅北口のコンテナ基地で初めて天文字焼きを見る集いを行いました。猛吹雪の中、天文字焼きを実施しました。街からは「天」の文字を見ることが出来なかったものの、山で火をつけた参加者には感動を覚えた人も多かったようです。この年、実行委員会(谷 博之実行委員長)は第2回目の名寄市ホワイトマスター称号を授与されました。
 平成4年、この年以降今回の第10回目まで晴天の天文字焼きが行われています。喜多天神社のお祓いを受けた松明御輿がはじめられました。この年から駅前でJR宗谷北線運輸営業所によるアイスキャンドル天文字焼きが始まりました。また、天文字焼きの活動(坂田 仁実行委員長)が一年中行われるようになり、夏には日本最北端の映画館である「第一電気館」での全国同時封切りロードショーの映画前売り券を販売するようになりました。販売手数料を活動費として有効に活用しています。
 平成5年、見る集いでは名寄太鼓による天文字太鼓の演奏がはじめられ、年を重ねて完成に近づいています。この年、北海道まちづくり百選特別賞を受賞しました。
 平成6年、天文字焼きに花を添える花火を打ち上げるようになりました。
 平成7年、見る集いで「北の天文字」という歌がカラオケつばさ会によって熱唱されました。JA智恵文の製作した「天文字焼き(カボチャといもからなる天の文字の入ったおだんご)」のサービスがはじめられました。この頃に、現在の天文字焼きの形が整いました。

「天文字焼き」の現状とこれから
 市民参加の実行委員会形式から、現在は助っ人、曹友会(自衛隊)、名寄市職員労働組合自治研推進委員会、名寄青年会議所、勤労者福祉推進員連絡協議会、JA智恵文、JR宗谷北線運輸営業所などのスタッフが山や見る集いの準備をし、一般参加の火をつけるスタッフを募ります。天文字焼き実施にあたり、その費用は名寄市から観光協会をとおしていただきますが、自己財源を作らなければならない状態です。
 さて、個別に現状と今後の問題点を見ますと、
^ 山の部(天文字焼き):現在まで天文字焼きは2月の第2土曜日で、雪質日本一フェスティバル期間中に実施してきました。直前の日曜日の山でのドラム缶設置、当日の準備は主に曹友会、市職労自治研ならびに市職員のみなさんに頼っています。点火当日は山に参加する市民を雪祭り会場からバスでの送迎を行っています。今年は市立短期大学の学生を含む150人を4回の運行でまかないました。山では待機時間の短縮、待機中の暖をとれるような体制づくり(トイレ、テント設営、温かい飲み物の提供)を心がけています。250個のドラム缶には、実行委員を含め、一人または一家族が配置されるように市民参加を募ってきました。点火前の山では澄んだ星空と名寄の街の灯りを見ることが出来ます。この街の灯りは点火とともに天文字焼きを見る人々が家の灯りを消すために暗くなります。「天」の文字の点火は、参加者が種火を手渡しで書き順どおりに伝えられます。そして、「天」の文字が出来上がり、打ち上げられる花火を見ながら下山します。寒い冬の夜のこの感動は山に参加した者にしかわかりません。私たち実行委員は参加者の楽しい想い出が作られることを願っています。今年は中学生とその家族にターゲットを絞りましたが、今後は、小学生やもう少し小さな子の参加も出来るように考えていきます。
一般参加者の山での記念撮影
松明神輿
_見る集い:山背一般参加者を含む実行委員が書き順どおりに「天」の火文字をつけていく様子を一般市民に楽しんでもらいます。実行委員も下山後見る集いに参加し、50台の焼き台で約700人が寒い冬の夜を楽しみます。雪質日本一フェスティバルの会場で行われるようになったこともあり、今後は基本的に観光協会が実施していくべきものと考えています。
 ステージのアトラクションとして、
@ 天文字太鼓:名寄太鼓保存会に正式に雪祭りの一環として参加要請をお願いし、天文字太鼓の完成を目指していきます。
A 天文字歌謡ショー:カラオケつばさ会に担当していただきます。
B 松明御輿:名寄神社の隣に喜多天神社があります。太宰府天満宮から認められた日本最北の天神様をおまつりしています。松明御輿のご神体は天神様ということになります。この松明御輿に、士別小僧会をはじめとし7市町村より15人が参加してくれたこともありました。このように市外から担ぎに来たくなるような御輿を作りたいものです。そのためには名寄にも御輿会の発会が可能かどうか、祭典委員会など市をあげて考えていきたいと思います。
`花火による演出:「天」の火文字に花を添える光の演出をその規模に併せて、観光協会に考えて欲しいと思います。
a写真コンテスト:これからも、写真を通したピーアールを続けていきます。テレフォンカード、絵はがきなどに活用したいと考えますが、観光協会や市にお願いし、販路を確保したいと思います。
b火文字をとおした交流:岡山県和気町には名寄から実行委員が2回訪問、和気町からも10人規模の訪問を2度受けています。それぞれ、観光協会会長、商工会議所の役員を含む実行委員の方ばかりで、それぞれの町が名寄市民の訪問を希望しています。いずれ、火文字サミットの開催も考えられます。名寄をアピールする意味でも「天文字約焼き」をとおした交流には意義がなると思います。
 10回続いた天文字焼きがこのまま継続されて、20年、30年そして100年経ったときには郷土の本当の火祭りになるのではないでしょうか。そのためには、一人でも多くの市民の参加、協力、理解が必要です。(北の天文字焼き実行委員長)
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